2008年10月3日金曜日

池田信夫センセイの「マンデル・フレミング」モデル講義(笑)

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池田信夫センセイは、なかなか面白い人ですね。中川昭一や麻生太郎の「経済政策」が、小泉・竹中流の緊縮財政を基調とする「構造改革路線」から大幅に後退して財政出動型の「ケインズ路線」に逆行しつつあることを、怒っているようですね。

ということは、前回も言ったように、池田信夫センセイは、小泉・竹中流の緊縮財政を基調とする「構造改革路線」の経済学を信奉していると言うことですね。池田信夫センセイが、怒りだしたくなるのも当然ですね。

そこで、中川財務・金融大臣が「中央公論」に発表した評論を、「大学1年生レベルのマクロ経済学」も知らない、と言って罵倒しているというわけです。

そして池田信夫センセイが、出してくるのが「反ケインズ経済学」としての「マンデル・フレミング」モデルというわけです。たしかに「マンデル・フレミング」モデルは、ケインズ型の経済学を批判したものですが、この批判が有効かどうかは、必ずしも自明の事実ではありません。批判する人も少なくないのです。単に学説の一つですから。

しかし、池田信夫センセイは、「こんなことも知らないのか」「大学一年程度の経済学の常識だ」と言います。面白いですね。「マンデル・フレミング」モデルを「鵜呑み」にして、絶対化しているのは明らかに池田信夫センセイということだけは、はっきりしていますね。

さて、「マンデル・フレミング」モデルを使った経済学とはどういう経済学でしょうか。それは、財政出動、積極財政による景気回復に伴う「累乗指数」(ケインズ経済学の基本)を無効を宣言する経済学です。その時に使われるモデルが、ISとLMですね。ここでは、面倒なので示しませんが……。

そこで、「東大法学部卒の中川氏はISもLMも知らないかもしれないが」というわけです。要するに、ケインズ経済学を批判・否定するものですが、これが、いわゆる竹中等のアメリカ式新自由主義の理論的根拠の一つです。

一方、ケインズ経済学とは、需要不足が不景気の原因だから、まず需要を喚起するために財政出動を行うべきだ、その時投下された資金は、生産から消費に向かい、「累乗指数」に沿って増加し、やがて供給の拡大と共に景気回復をもたらす、というものです。

池田信夫センセイは、ケインズ経済学を批判否定するわけですね。そこで、「アメリカで行われている金融危機対策については、経済学者にとっても勉強になるハイレベルの論争が行われているが、日本ではまだ半世紀前のケインズの亡霊が徘徊しているようだ。」というわけです。

「アメリカでは……」「ハイレベルの論争が行われているが……」というのは、池田信夫センセイの思い込みに過ぎませんね。いわゆる「『では』の神」というわけです。

アメリカの金融危機も、なかなかレベルの高い金融危機なんでしょうね。「マンデル・フレミング」経済学で、金融危機も、簡単に解決してくれるでしょう。


中川昭一氏のためのマクロ経済学超入門
2008-09-25 / Economics



アメリカで行われている金融危機対策については、経済学者にとっても勉強になるハイレベルの論争が行われているが、日本ではまだ半世紀前のケインズの亡霊が徘徊しているようだ。中川財務相・金融担当相が『中央公論』7月号に書いた「日本経済復活のための13の政策」には、典型的なバラマキ政策が並ぶ:


年金の物価スライド制復活と長寿医療制度での保険料軽減
子育てに必要な最低限の育児費や教育費は国が全部面倒を見る
基礎年金の全額税方式化
定率減税の復活
法人税減税
一人当たり三〇〇万円まで非課税の証券マル優制度の創設
政府系ファンドの創設


総額21兆円以上という小沢一郎氏なみの規模だ。こういう「積極財政」が「国民を元気にする」という思い込みが何度も語られるが、中川氏はこういう政策がマクロ経済的にどういう波及効果をもたらすか、ご存じなのだろうか。非常に基本的なことだが、経済政策の責任者がこの程度の知識もないのは、それこそG7会合で恥をかくので、大学1年生レベルのマクロ経済学を確認しておこう。

(中略)
つまり中川氏のバラマキで「元気になる」ようにみえるのは一時的な錯覚で、その効果は国際資本移動で打ち消され、円高によって輸出産業がそのコストを負担するのだ。結果的には、こうした政策によってGDPは増えず、輸出産業から競争力のない国内産業に所得が移転されるだけだ。世界経済全体のバランスをみても、アメリカの巨額の経常赤字が円高圧力になっているので、資金が円にシフトする可能性は高い。

長期的な影響は、さらに悪い。バラマキによってプライマリー・バランスの黒字化が遅れると、財政赤字が発散するおそれがある。これを避ける方法は大増税か、インフレで政府債務をチャラにする「徳政令」しかない。そういう将来の不安が大きくなると、いくら減税しても消費は増えないというのが中立命題である。これは実証的には疑わしいが、巨額の財政赤字のもとで「積極財政」をとっても、国民は「元気になる」どころか不安になるだけで効果がないことは、ここ10年の日本経済の実績が何よりも示している。

東大法学部卒の中川氏はISもLMも知らないかもしれないが、知り合いの経済学者にきいてみてほしい。地底人以外は、だれでも同じように答えると思う。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/bb3d198e9beea42e6b42268d57028a98


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